2014年6月11~13日、ネットワーク関連の総合イベント「Interop Tokyo 2014」の展示会が千葉県の幕張メッセで開催された。例年にも増してSDN関連の展示に見るべきものが多かった。今年のInteropで注目のトピックスを2回に分けて紹介する。(本誌)

 今年のInterop Tokyo 2014ではSDNに関係する展示が多く、まさにフェスティバルと言ってよいほどの広がりを感じた。本連載ではInteropのSDN関連の話題を2回に分けて紹介していく。今回は前編として「SDI ShowCase」などのトピックスを解説する。

次にくるネットワーク技術が参集

 Interopは数多あるICT/ITの展示会の中でもかなり特色があるイベントと言える。それを際立たせているのが「ShowNet」である。InteropのShowNetは、その時々の最新のネットワーク技術に関連した機材がベンダーから提供され構築される。併せて会場内の出展社に対してISP(インターネットサービス事業者)としてサービスを提供するミッションも持っている。当然、すべての機材は“お飾り”ではなく動的に展示される。この「最新の技術」と「動的な展示(サービスの提供)」という点を同時に実現していることがShowNetの最大のポイントである。

 最新の技術は総じて「こなれていない技術」や「とんがった技術」である。自社の機材だけならともかく、他社製の複数の機材と相互接続してサービスを提供するとなるとハードルは高い。逆に言えば、ShowNetに採用されて確実に動作した機材は1~2年後に製品として実際のネットワークに取り入れられることが多い。つまりShowNetは数年先を見据えた「次にやってくるネットワーク技術」を提示する場となっている。

 ShowNetの構築に責任を持つのはInterop NOCのチームメンバーだ。NOCジェネラリストと呼ばれる大学のネットワーク研究者メンバーを中心に、機材ベンダー、SIer、データセンターやクラウドなどのサービス事業者など各方面のスペシャリストで構成されている。NOCチームは開催の半年以上前から採り上げるべきテーマについて議論し、ShowNetの設計と実装を決めていく。

 例えば今回のテーマの一つに、IETFで標準化中のVXLANプロトコルに関連する機材の相互接続実験がある。VXLANのような新たなプロトコルの標準化過程では、ベンダー間で仕様に対する解釈の微妙な相違や実装上の問題などがあり、同じ標準プロトコルでも接続できないことがある。そこで相互接続試験の場で明らかになった問題点などは各社へフィードバックされ、調整や修正がなされる。

VXLAN=Virtual eXtensible Local Area Network。レイヤー2のトンネリングプロトコルの一つ。
相互接続実験=Interopはそもそもネットワーク機材の相互接続試験の場としてスタートし、名称も相互接続性を意味する「Interoperability」に由来する。