「福岡アイランドシティ」は、博多港の航路整備で生じる浚渫土などを活用して博多湾和白沖を埋め立てて建設した人工島。約400haの面積のうち、島内を横切る道路から東側約190haが住宅地や公園、西側約210haが港湾施設のエリアとなっている。東側の住宅地には、2015年4月現在、2038世帯、6293人が居住している。

 1994年に人工島の建設が始まった当初、鉄道や地下鉄が乗り入れる構想もあったが、いまだに実現していない。最寄りのJR千早駅までは数kmの道のりのため、いまでは、アイランドシティの住民にとって、路線バスと自家用車が、主要な交通手段となっている。

 今年4月4日から6月3日まで、このエリアで「再生可能エネルギーを利用した地域モビリティの実証事業」が実施された。太陽光と風力発電による再エネ100%の電気で電動アシスト自転車の蓄電池を充電し、地域住民の間で共同利用(シェアリング)する試みだ。同実証事業は「福岡市スマートコミュニティ創造協議会」の一つとして実施した。

 島の中央にある「アイランドシティ中央公園」に面した分譲マンション販売施設の駐車場に「再生可能エネルギー利用自転車ポート」を設置した(図1)。この設備が再エネ由来の電力を供給し、シェアリングのための貸出管理システムなどを搭載した充電ステーションの機能を担う。川重商事(神戸市中央区)が開発し、運営を担った。

図1●駐車場に設置した「再生可能エネルギー利用自転車ポート」(出所:日経BP)
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