講演する落谷氏
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乳がんで解析が先行

 エクソソームは、血液のほか、尿や唾液など、さまざまな体液に含まれる。このことが意味するのは、ごく微量の体液から、エクソソームに含まれるマイクロRNAをマーカーとして、さまざまな種類のがんを一度に診断できる可能性があるということだ。落谷氏が研究開発責任者を務めるNEDOプロジェクトは、まさにここに着目した取り組みである。がんの診断だけでなく、その結果に基づく創薬や個別化治療にもつなげる狙いだ。

 2014年度に始動した同プロジェクトでは、がん患者の臨床情報とリンクした7万検体を解析し、マイクロRNAなどに関するデータベースを構築する。既に「1万件以上を解析した」(落谷氏)。現状で解析が最も先行しているのは、乳がんだ。1000例以上を解析済みで、マイクロRNAとの関係が「かなり明確に分かってきた」(同氏)。マイクロRNAを利用して99%以上の感度と特異度で乳がんを診断でき、直径3mmの乳がんも診断できたという。