「現状は赤字」

 最後は、参加者からの質問にパネリストが解答した。まず「マネタイズ」に関する質問に対して、「当初の予想と違って現実は厳しかった」とぶっちゃけトークをしたのは高村氏。「現状は赤字」と告白したうえで、今後は他社とアライアンスを組みOEMで現在のサービスを提供する「B to Bでの収益化」や、ユーザーがサイトを見たときの動向を把握して「広告として他のネットワークに提供する形での収益化」を考えていると語った。

 豊田氏も、「メドレー」に関しては「ジョブメドレー」の売り上げが立ったうえでの再投資となるため「赤字」とのこと。ただし、メドレーをワンストップで利用できるインフラとして確立できれば「マネタイズのやり方もいろいろある」としたほか、病気や治療に関する基本的な部分は世界共通となるため「グローバル展開でのマネタイズも可能ではないか」との考えも示した。

 次に、「ヘルスケアITが進む中で、高齢者にも使いやすいような工夫はしているか?」との質問に対しては、まず産業医でもあるモデレーターの大室氏が自身の実感をコメント。産業医の分野では10年前は“メンタルヘルス”が主流だったが、最近は65歳以上の人が働いていくためにどうしたらいいのかを考える“エイジマネージメント”が増えている点に触れた。

モデレーターを務めた産業医 元ジョンソン・エンド・ジョンソン統括産業医/NewsPicksプロピッカー 大室正志氏
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 高齢者が働いていくうえで「医療やITはどのようなサポートができるのか」を考えたとき、大石氏は「“高齢者”を全国共通で捉える考え方を捨てるべき」と提案。地域や年代はもちろん、ニーズや能力なども違うことを考えれば、セグメントを細かくし、それぞれにあったサービスやサポートを提供することで「答えは見えてくるのではないか」と意見した。

 苦手な高齢者も多いオンラインサービスでサービスを展開する豊田氏は、「パソコンやスマートフォンを使えない高齢者が我々のサービスを利用するのは難しい」と正直な感想を述べたうえで、「ただ、使ってほしいのはその子供や孫の世代」と発言。自分の親や祖父がどんな病気を持っているのかを「知ることが大事であり、知らないと不幸になる」と語り、それをサポートするのが自分たちの役目であるとした。

 同じくオンラインでDoctors Meを展開する高村氏は、自社がスマートフォン向けにサービスを強めている背景から「若い人や30~40代とその子供に関する相談が増えてきている」という現状を説明。ただし、最近では地方自治体とのタイアップで高齢者の利用拡大をはかる取り組みもしているそうだ。今後の動向に応じてサービスのやり方は変わっていくが、「現在利用している30~40代の人が、20年後も使ってもらえるようなサービスにしていきたい」との抱負を述べ、パネルディスカッションは終了した。