米ファースト・ソーラーのラフィ・ガラベディアンCTO(最高技術責任者)

米ファースト・ソーラーは、テルル化カドミウム(CdTe)を使った化合物系太陽電池(CdTe系太陽光パネル)を製造する世界最大手の太陽光ネルメーカーの1つ。EPC(設計・調達・施工)サービス企業としても世界トップクラスだ。日本市場への本格展開も狙っている。同社で、研究・開発を率いるラフィ・ガラベディアンCTO(最高技術責任者)に、技術戦略と今後の太陽光発電事業の方向性について聞いた。

――ファースト・ソーラーの世界での実績に比べ、日本の事業は必ずしも大きなものではないと思います。これまでの日本市場でのビジネスをどのように捉えていますか。

ガラベディアン氏 日本では、カドミウム汚染に関する公害の歴史があるため、テルル化カドミウム(CdTe)を使った化合物系太陽電池(CdTe系太陽光パネル)の展開に関しては、慎重だったことは確かです。たた、CdTeとカドミウムは異なる物質で、人体にも環境にも影響がないことについては、学術的に証明されています。世界の国々ではそのことに関し、理解されています。日本市場でも、こうした学術データなどを基に説明しつつ、ビジネスを広げていきたいと考えています。

――太陽光パネルを大量に設置するメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設する際、カドミウム化合物を使っていることについて、周辺住民などの社会的受容性に関し、問題になったことはありますか。

ガラベディアン氏 実は、3年ほど前に、CdTe系太陽光パネルの安全性評価を専門機関に依頼し、報告書を作成しました。メガソーラーの建設などに際には、こうした評価報告書を配布し、説明してきました。反応は、我々が思っていた以上に好意的なもので、ビジネスへの影響はありませんでした。

 これまでに全世界で約10GWを出荷し問題がないことも、安全性の裏付けになると思います。カドミウムに対して特別な歴史のある日本の人たちにも、こうした実績を理解していただき、安心して導入してもらえればと考えています。