東芝三菱電機産業システム(TMEIC)・環境エネルギー事業第二統括部の
杉山正幸統括部長

接続保留問題は、再生可能エネルギーが電力系統に与える負荷を再認識させることになった。すでに北海道や沖縄では、太陽光発電の急峻な出力変動が、系統の周波数に影響する問題が顕在化しており、蓄電池を併設するメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトが動き始めている。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は、こうした動きに先手を打ち、すでに蓄電池とメガソーラーを最適制御するシステムの開発を進めている。同社で、蓄電池関連のシステム開発を統轄している環境・エネルギー事業第二統括部の杉山正幸統括部長に、今後の事業戦略を聞いた。

――ここにきて、蓄電池を併設したメガソーラープロジェクトの動きが活発化しています。その背景をどのようにみていますか。

杉山 経済産業省の開催する総合資源エネルギー調査会・長期エネルギー需給見通し小委員会において、2030年における望ましいベストミックス(電源構成)を検討しています。まだ、結論は出ていませんが、議論の流れをみると、再生可能エネルギーの比率を20~30%に設定することになると見ています。これを実現するには、出力の不安定な太陽光や風力発電をいかにして、安定電源化するかが、カギを握ります。再エネの急峻な出力変動を抑制するには、蓄電池システムが重要になります。

――蓄電池システムを併設したメガソーラーは初期投資が高く、固定価格買取制度(FIT)の下であっても、いまのところ事業性を確保できないとの声を聞きます。

杉山 まだ、蓄電池のコストが高いのは事実です。電気自動車(EV)の普及が予想よりも遅れていることもあり、まだ量産によるコストダウンが進んでいない面もあります。経産省は2012年に蓄電池戦略プロジェクトチームを設置し、「蓄電池戦略」をまとめました。そこでは、電力系統用大型蓄電池の設置コストを、将来的に揚水発電のコストである2.3万円/kWhに下げる目標を掲げています。現時点では日本メーカーの蓄電池の単体でのコストは10万円/kWhを切っている程度で、海外製でもその7割程度です。しかし、急速に下がってきたのも確かで、今後も徐々に下がることが見込まれます。さらに、電池単体だけでなく、大型蓄電池システムは消防法の対応などで必要なコストが膨らむので、当社は周辺機器についても継続的なコストダウンに取り組んでいます。