テクノロジーの進歩を背景に、医療の姿は大きく変わっていきそうだ。その未来像について、日経デジタルヘルスも一部協力している「第29回日本医学会総会 2015 関西」の学術テーマ展示2「ITがもたらす情報化社会の医療環境」においてワーキンググループリーダーを務める黒田知宏氏(京都大学 医学部附属病院 医療情報企画部 教授)に示してもらった。(小谷 卓也=日経デジタルヘルス)

本記事は、日経デジタルヘルスが2014年3月18日に開催した「デジタルヘルス・サミット デジタルヘルスの未来2014」での黒田氏の講演を基に、編集・加筆したものである。

(写真:加藤 康)

 今の病院は、巨大なコンピューターであると言える。

 私が勤務する京都大学医学部附属病院を例に挙げても、2000台以上の端末(パソコンなど)が無線LANでサーバーにつながっている。どこにいても電子カルテが見られたり、オーダーができたりする。いわゆるユビキタス環境ができあがっているのだ。巨大なコンピューターに「京大病院」という看板がかかっているだけと言っても過言ではない。医師も看護師も、そして私自身も、そんな環境の中で仕事をしているのが実態である。