このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって構成している。

 太陽光発電設備において、パワーコンディショナー(PCS)は心臓部の役割を担っています。PCSが正常に動かないと、発電した電力を系統へ送ることができません。

 今回は、新設の太陽光発電設備における連系試験の際に、PCSの制御電源用ブレーカーがトリップ(遮断動作)した事例を紹介します。

 出力990kWという、メガクラスの出力規模の太陽光発電設備の連系試験に立ち会い、PCSの設定や運転開始前の各種のスイッチの状態などに問題がないことを確認した後、連系することにしました。

 PCSは、定格が490kWと500kWの2台という構成です。

 PCSの運転を開始して間もなく、エンクロージャー(筐体)内の分電盤にあるPCS制御電源用のブレーカー(MCCB 2P10A)が突然、トリップし、運転が停止してしまいました。

 原因の調査のため、PCSや他の機器に異常がないかどうか、確認しましたが、特に問題はありませんでした。

 そこで、再度、運転してみたところ、再びPCS制御電源用のブレーカー(MCB 2P10A)がトリップしました。