1月中旬、豊田市は「とよた世界環境ウィーク2015」を開催した。世界各国の政府や自治体、国際機関が集まり、国連と豊田市が共催した「持続可能な都市に関するハイレベルシンポジウム」を中心に、市民などが参加する「とよたビジネスフェア」や「環境先進都市・防災フォーラム」、「おもてなし茶会・講演会」、燃料電池自動車(FCV)の試乗会などのイベントや会議を9日間にわたって開いた。豊田市の環境における取り組みや、豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト「Smart Melit(Smart Mobility & Energy Life in Toyota City)」の成果を国内外に向けて発信した。

 1月15~16日、豊田市内で国連経済社会局(UNDESA)と豊田市の共催による「持続可能な都市に関するハイレベルシンポジウム~人と環境と技術の融合~」が、市内のホテルで開かれた。インドネシアやパキスタン、フィリピン、スリランカ、スーダン、ロシア、中国、韓国などの政府や都市、国連をはじめとした国際機関など世界23カ国から約250人が参加。持続可能な都市を目指し、先進的な施策や方向性について、活発な意見交換や議論を行った。

 シンポジウムは、新興国と先進国が意見交換や情報交換を行う場として、世界の各都市と共催で開催する国連の会議である。これまでに、ドイツ・ベルリン市や中国・揚州市で開かれたが、日本では初めての開催だ。

技術と歴史・文化を両立したまちづくり

 国連経済社会局持続可能な開発部長のニキル・セス氏とともに、太田稔彦・豊田市長が共同議長に就いた。太田市長は歓迎あいさつで、「豊田市は人口42万人と愛知で2番目に大きな都市。トヨタ自動車の主要工場や関連の中小企業が多く立地する車のまちであるとともに、市の70%が森林に覆われる自然豊かで、歴史・文化のまちでもある。車の街の特性を生かし、人と自然、歴史・文化の調和と、過去の知恵や経験を生かしたまちづくりに取り組んでいる」と豊田市の現状を紹介。「先端技術と歴史・文化を両立したまちづくりを進めており、持続可能であり続けたいと考える都市と意見を交換したい」と述べた。

 国連のセス氏は基調講演で、「2030年までに人口1000万人以上の都市が41になり、2050年までに大半が都市に住む。都市人口は25億人増えるが、その90%以上がインド、中国、ナイジェリアを中心としたアジア・アフリカである。都市には統合した政策やイノベーション、多様なエコシステムが欠かせず、地方自治体の力量が試される」とし、「国連の持続可能な開発目標(SDGs)における17のゴールと169のターゲットは、いずれも都市と関係している。都市の課題と進むべき道の知見を共有したい」と話した。

【写真1】国連が豊田市と共催した環境先進都市国際会議
世界23カ国から約250人が参加し、持続可能な都市を目指し、活発な意見交換や議論を行った。(撮影:森田 直希)