断線箇所からの反射波で位置を検出

 そこで、NECネッツエスアイは、簡易な方法で、電気的にパネル単位での経年劣化などを把握できる仕組みを導入することにした。

 接続箱内から、ストリングごとにパルス波を送ると、断線などのトラブルを生じたことによって、極端に抵抗値が高くなった箇所からは、反射波が戻る。この反射波が戻ってくるまでに要する時間から、断線している位置を把握できる。

 発信点からの距離によって、反射波が戻ってくるまでに要する時間が変わるため、ストリング内でトラブルを生じたパネルの特定だけでなく、太陽光パネル内で、バイパスダイオードが働いている場合は、その状況まで把握できる(図3)。

図3●反射波が戻ってくるまでに要する時間から、故障の箇所を検出
半導体や通信といった分野で実績があるTDRを応用(出所:NECネッツエスアイ)
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 この検出方式は、TDR(time domain reflectometry)と呼ばれ、半導体や通信といった分野で実績がある。太陽光発電の監視への応用は、システム・ジェイディー(福岡県福岡市)が、IC(集積回路)の検査向けで培った技術を生かして開発した。

 システム・ジェイディーは、こうした太陽光発電システムの故障検出への応用に関して、特許を取得し、パルス検知型デバイス「SOKODES(ソコデス)」を製品化した。

 NECネッツエスアイは、システム・ジェイディーと提携し、SOKODESを応用したパネル単位のトラブルの検出を、遠隔監視サービスに組み込んだ。TDRを応用した監視サービスは国内初だとしている。

 2014年9月に受注を開始し、12月末時点で合計出力約6MWを受注しているほか、同約70MWの太陽光発電所から、引き合いを受けている。