大島氏の講演の様子
大島氏の講演の様子
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 診療報酬明細書(レセプト)や特定健診など、さまざまな医療情報の電子化とその活用は、ヘルスケアや医療の世界をどのように変えるのか。その時、個人の医療情報はどのように守られるべきか――。「医療情報の利活用と個人情報保護」と題し、こうしたテーマを議論するシンポジウム(主催:東京大学大学院医学系研究科 医療経営政策学講座)が2015年1月17日、東京都内で開かれた。

 基調講演には、医療情報の活用に向けた施策を主導する立場から、厚生労働省保険局 総務課長の大島一博氏が登壇。「我が国における医療情報の活用と個人情報保護の動向」と題して講演した。

 大島氏はまず、医療情報の活用を促す契機となる動きは、大きく3つあると指摘した。第1に、2008年ごろに始まった「レセプトや特定健診結果の電子化」。第2に、「社会保障・税番号制度(マイナンバー)の導入」を受けて2017年ごろから始まる見通しの自治体間などでの情報連携。第3に、2018年以降に見込まれる「個人番号カードの普及」である。

 これら3つが「絡み合って医療情報の使い道が広がっていく。その利便性を国民にきちんと説明できるようにするためにも、医療機関や保険者の間での合意形成が重要だ」と大島氏は指摘する。