「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」では、EV(電気自動車)の普及を見越したさまざまなEMS(エネルギー・マネジメント・システム)の実証が進んでいる。日産自動車はEVに搭載している蓄電池を使って住宅に電力を供給するV2H(ビークル・ツー・ホーム)に、JX日鉱日石エネルギーとNECが複数の急速充電器と大容量蓄電池を組み合わせたEV充電システムに、日立製作所はカーシェアリングにおける効率的なEV充電にそれぞれ取り組んでいる。

 横浜市旭区の閑静な住宅街にある戸建て住宅(写真1)。ここで日産自動車が、EV(電気自動車)のリーフに搭載している蓄電池(容量24kWh)に太陽光発電の電力を充電したり、EVから住宅に電力を供給したりするV2H(ビークル・ツー・ホーム)の実証を2013年夏から実施している(関連記事『EVや急速充電器を地域のエネルギー・マネジメントに活用』)。

 ユニークなのは、この住宅の所有者である日産社員が家族とともに日常生活を送りながら実証を進めている点である。住宅には、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)と太陽光発電システム(出力4.0kW)、リーフ用の充放電ガン、太陽光発電とEV用のパワーコンディショナー(PCS)などが設置されている。社員は通勤、買い物などにリーフを利用する(写真1)。

EVの利用計画に基づき自動で充放電

 今回の実証である「充放電EVシステム」の特徴の一つは、システムが蓄電池の充放電を自動で制御することである。まず、EVなどの走行状況を管理する日産の「カーウイングスデータセンター」が過去の走行履歴データから毎日、1週間分の「EV利用計画」を作成する。ただし、「次の休日にEVで遠出する」などの通常と異なる予定があれば、人手で走行距離や時間などを入力してEV利用計画を修正できる。実際にこの住宅で生活する日産の社員は「計画を変更することはほとんどない」と言う。