出典:『稼ぐビッグデータ・IoT技術 徹底解説』の第2章 先進事例(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
   

 サービス産業の発展に向けては、経験や勘を超えた科学的なアプローチが必要となる。我々は、従来は定性的にしか評価することができなかった人間同士のコミュニケーションや行動を計測する「ビジネス顕微鏡」を開発し、さまざまな企業において、100万日、10兆個もの人間行動のビッグデータを分析してきた。

 本稿では、ビジネス顕微鏡の概要、人間行動データと企業内のビッグデータを統合してヒト・モノ・カネに関するデータを統合して経済価値を生み出す「ヒューマン・ビッグデータ・クラウド」のコンセプト、さらに、これらを活用した具体的なサービス業務の業績改善事例を紹介する。

1 はじめに

 今後、大きな成長が見込まれているサービス産業のさらなる発展に向けては、サービス業務を科学的に改善するアプローチが必要と考える。我々は人間同士のコミュニケーションや行動を、センサーデバイスを用いて定量的に計測する「ビジネス顕微鏡」を開発し、企業内におけるコミュニケーションや人間行動等、100 万人日、10 兆個もの“ヒューマン・ビッグデータ”を蓄積し、分析してきた1~3)

 これらのデータを用いて、従来は定性的にしか捉えられなかった複雑な人間同士の相互作用を計測し、可視化できることが明らかとなった4)。この大量のヒューマン・ビッグデータは、企業内に蓄積されている他のビッグデータと連携して統合的に分析することによって、経済的価値に変換することができる。

 本稿では、先端的なIoT(Internet of things)技術としてのビジネス顕微鏡の概要、および、この技術を代表的なサービス業務であるコールセンターと商業施設において活用した事例について述べる。