医療情報システムとのデータ連携手法の数々

 医療現場で利用されているFileMakerは、特に医療機関全体で運用しているケースでは、その多くが何らかの方法で電子カルテなど基幹システムとデータ連携している。国立長寿医療研究センターのバイオバンク情報管理システムもSS-MIX標準化ストレージを介したデータ連携の一例だが、今回のカンファレンスでは様々な連携の技術が紹介された。

 キー・プランニングの木下雄一朗氏と製鉄記念広畑病院の廣田朝司氏は、キー・プラニングが開発した「KP-Sync」を用いた電子カルテとのデータ連携の仕組みとその運用について発表した。

キー・プランニング代表取締役の木下雄一朗氏(左)と製鉄記念広畑病院放射線科兼情報システム企画室の廣田朝司氏(右)
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 KP-Syncは、実行中のプログラム間でデータの送受信を行なうための標準的なAPIの1つであるソケット通信を用いたもので、医療情報システムから出力される電文データをXML形式に変換し、FileMakerに取り込む際にスクリプトで患者名などの各データを切り出して各フィールドに位置付けて転送しているという。同技術の特徴を木下氏は、「医療情報システム側からすると他のシステムとの連携と同じようにソケットでデータを送信する標準的な機能であり、電子カルテベンダーの連携のためのカスタマイズを必要としない」とメリットを強調した。

 KP-Syncは現在、富士通(HOPE/EGMAIN-GX)、東芝(HAPPY CLIOS-ER)、NEC(MegaOak-MI・RA・Is)の電子カルテシステムなどに対応しており、廣田氏は同病院のHOPE/EGMAIN-GXと連携した運用を紹介した。