熟練者の技を誰もが継承できる

 ウエアラブル端末については、ジェイアイエヌが開発した眼鏡型端末「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」を紹介した(関連記事3)。稲見氏はこの端末の応用技術について、ジェイアイエヌと共同で研究を進めている。

 JINS MEMEは「自己認識を支援する」(稲見氏)ことを狙った端末である。眼電位センサーや加速度センサーを内蔵し、装着者の疲れや眠気を可視化できる。例えば医療分野では「何らかの作業をしている時の、熟練者とそうでない人の違いの把握や、患者の日常生活のモニタリングなどに使えるのではないか」(稲見氏)。

 「AR/ウエアラブル技術ができること」を稲見氏は大きく2つにまとめた。1つは、実空間における感覚を“時空間の整合性”を保ちつつ“実時間”で補強すること。この特徴を生かせば、「本来、注意を払うべき対象に集中できることに加え、ソフトウエアの変更によって各種のスキルに対応できる」(同氏)。もう1つは、「自動化」ではなく「自在化」を実現すること。ヒト単独やロボット単独よりも優れた能力を発揮する“人機一体”を実現するとともに、熟練者の技を誰もが獲得する手段になるとの見方を示した。