基礎化粧品の「ドモホルンリンクル」で知られる再春館製薬所(熊本県益城町)。阿蘇くまもと空港からクルマで10分ほど、国道443号線を走ると、ゴルフコースのある丘の斜面に放射状に並べられた太陽光パネルが目に入る(図1)。再春館製薬所の本社は、このメガソーラー(大規模太陽光発電所)の隣にある。

図1●再春館製薬所の隣接地に建設した高遊原発電所(出所:日経BP)
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 2012年7月に固定価格買取制度(FIT)が始まる前、企業が自社ビルの屋上などに設置する産業用太陽光発電所は、CSR(企業の社会的責任)の観点から設置していた。自家消費が中心だったうえ、今に比べると設置コストが高かったため、ほとんど経済性はなかったからだ。

 そんな時代に、再春館製薬所の太陽光発電設備は、民間企業の設置した太陽光発電所として国内で最大規模を誇っていた。本社ビルの上などに設置した太陽光発電設備は2011年には出力1775kWに達し、1MWを超えた。当時では珍しい「メガソーラー」だった。太陽光パネルには、三洋電機(現パナソニック)製と、京セラ製、そして三菱電機製の国内メーカーの3タイプを採用した。

 実は、丘の斜面に設置されたメガソーラーは、再春館製薬所が隣接地(高遊原地区)を賃借して2013年に建設した。出力約1.7MWで、同社として最初のFITを活用して売電する方式のメガソーラーとなった。高遊原地区のメガソーラー(高遊原発電所)のパネルは、2011年までは本社ビルなどに設置していた太陽光パネルを移設したものだ(図2)。

図2●国産3メーカー製のパネルを設置した(出所:日経BP)
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