図1 ソニーDNAの菅野氏
図1 ソニーDNAの菅野氏
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図2 ソニーDNAが使う手法の例。UXの設計は左側の菱型、UIの設計は右側の菱型の段階で実施するイメージ。図は、『The Double Diamond Model』(2005, UK Design Council)を基にソニーDNAが作成。
図2 ソニーDNAが使う手法の例。UXの設計は左側の菱型、UIの設計は右側の菱型の段階で実施するイメージ。図は、『The Double Diamond Model』(2005, UK Design Council)を基にソニーDNAが作成。
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図3 カスタマージャーニーマップの作り方 。図はソニーDNAが作成。
図3 カスタマージャーニーマップの作り方 。図はソニーDNAが作成。
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 「ユーザーテストは、製品を出す前に少なくとも1回はやります。社員が被験者になるなど、簡易的な場合もありますが。『カスタマージャーニーマップ』も、新しい体験をもたらす製品であれば、今後は標準的になっていくと思います」。こう語るのは、ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ(SDNA)技術開発部 UX技術課の課長を務める菅野歩氏(図1)。同社はデジタルカメラや「ウォークマン」といったソニー製品に組み込むソフトウエアや、パソコンやスマートフォン向けのアプリなどを手掛けており、菅野氏は製品のユーザー体験(UX:user experience)やユーザーーインターフェース(UI)の向上に取り組んでいる。大手電機メーカーが手がけるUI/UX向上活動の1つとして、同氏らの活動の実状を聞いた。

 SDNAが現在力を入れている活動の1つが、製品開発の上流工程での製品のコンセプトづくりやUXのデザインである(図2)。冒頭の「カスタマージャーニーマップ」の活用はその一環だ。同社だけでなく、UXのデザインに最近よく利用される手法という。

 開発の上流工程で同氏のグループは、まず対象とするユーザーの調査を実施し、それを基に「ペルソナ(名前や職業、年齢などの属性を具体的に定めたユーザー像)」を作成する。カスタマージャーニーマップは、このペルソナが製品を使った時にどのような行動を取り、どのような感情を持つのかを整理する手法である(図3)。既存の製品やサービスを対象に実施するほか、これから開発する製品では、コンセプトがある程度固まり、提供する価値が決まった段階で利用する。