奈良県大淀町は、古くから吉野地域の玄関口として栄え、1970年代以降は、大阪のベットタウンとして宅地開発が進められてきた。近鉄吉野線・福神駅前に広がる「花吉野ガーデンヒルズ」は、近畿日本鉄道が開発した町内で最も新しい住宅団地。現在330世帯が住み、病院のほか、企業誘致用地がある。すでに植物工場が野菜を生産している。

 2014年3月20日、このエリアの一角に、出力3MW(パネル容量4.2MW)のメガソーラー(大規模太陽光発電所)「近鉄花吉野ソーラー発電所」が稼働した(図1)。近鉄が建設し、関電エネルギーソリューション(大阪市北区)とオンサイト発電サービス契約を結び、同社がO&M(運営・保守)を担当している。

図1●空から見た「近鉄花吉野ソーラー発電所」。手前の建物が植物工場(出所:近畿日本鉄道)
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 同発電所の大きな特徴は、隣接地に電気自動車(EV)用の急速充電器を併設したことだ。最大出力50kWで、日産自動車のEV「リーフ」なら、30分で80%程度の充電量になる(図2)。この急速充電器は、平時には、関西電力の電力系統から受電して、EVやPHV(プラグインハイブリッド車)に充電サービスを提供している。すでに月に4~5回使われているという。

図2●近鉄花吉野ソーラー発電所に隣接した急速充電器。太陽光パネルはシャープ製(出所:日経BP)
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