設置台数は世界2位だが症例数では見劣り

 説明会では始めに、インテュイティブサージカル合同会社 社長の上條誠二氏が登壇。日本におけるda Vinciの普及状況や保険適用の進捗を説明した。

インテュイティブサージカル合同会社の上條氏
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 日本では米国に後れること3年、2009年11月に泌尿器・一般消化器・婦人科・胸部外科を対象に「da Vinci S」モデルに対する薬事承認を取得。同モデルは2010年3月に発売され、2012年4月に前立腺がんの全摘除術に対して保険が適用された。

 上條氏によれば、保険適用をきっかけに日本におけるda Vinciの設置台数と手術適用件数(症例数)はいずれも大きく伸びているという。2014年第2四半期時点の設置台数は178台で世界シェア6%。これは圧倒的に先行する米国(2116台で世界シェア70%)に次ぐ世界2位だ。設置台数は2014年内に200台を超える見通しである。

 症例数は2014年第2四半期時点で6678件であり、「2014年中に9000件を超える」(上條氏)見込み。ただし、2014年第2四半期時点の症例数を世界シェアで見ると1%にとどまり、米国(86%)、フランス(2%)、ドイツ(2%)、イタリア(2%)に次ぐ第5位である。

 設置台数の伸びに比べて相対的に症例数が伸び悩んでいる理由は、保険適用の進捗にあると同氏は説明する。日本では保険適用対象が現時点で前立腺全摘除術に限られるため、「子宮がんなど婦人科への適用が大幅に増えている」(上條氏)という海外に後れを取っている。da Vinciの設置台数トップ14の国のうち、「日本と韓国、カナダの3国だけが十分に保険でカバーされていない」(同氏)。結果として、日本ではda Vinciの1台当たり症例数が42件と、トップ14の平均(151件)を大きく下回る。設置台数が多い割に稼働率は低く、いわば“宝の持ち腐れ”といえる状況にあるわけだ。

日本における普及状況
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