固定価格買取制度(FIT)がスタートして2年経過し、稼働し始めたメガソーラー(大規模太陽光発電所)も増えてきました。また、メガソーラーを転売するケースも増えてきています。転売を前提とするメガソーラー事業で有利な取引をするには、どのような準備が必要かまとめました。

(1)将来のキャッシュフローにより、転売価格が決まる

 メガソーラーを購入しようとする者は、メガソーラー事業から得る利益やキャッシュフローを基に購入価格を決定します。そのため、すでに稼働しているメガソーラーであれば、メガソーラーの実績及び将来の損益やキャッシュフローで購入判断をします。未稼働のメガソーラーなら将来の損益やキャッシュフロー計画を準備しておくべきでしょう(図1)。

図1●将来のキャッシュフローの計画を準備しておく(出所:安田祐一郎氏)
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 一つの会社で複数のメガソーラーを保有する時は、発電所ごと個別に売却することを想定して、メガソーラーごとに損益やキャシュフローを把握し、採算性を明らかにしておくべきです。

 メガソーラー事業を長期保有しようとする投資家は、投資額に対するリターンである利回りが、何パーセントであるかに興味を持っており、メガソーラーを金融商品として見る傾向があります。また、最近の不動産価格の上昇傾向が、メガソーラー転売価格にも影響を与えており、転売価格も上昇傾向にあります。転売時期の判断には、メガソーラーに類似する賃貸不動産の利回り傾向にも注視すべきです。

 最近では、新電力(PPS)事業者が、FIT固定買取価格より1円上乗せした価格で電力を買い取るサービスを開始しております。売電単価が1円上乗せされると、将来キャッシュフローも増加し、転売価格の引き上げも期待出来ます。

 グリーン投資減税は、発電開始後に転売された中古の太陽光発電設備には適用がありません。グリーン投資減税のメリットを受けたい者に転売するには、稼働開始前に転売しなければなりません。