――太陽光パネルが大量に並んでいる様子は、人間が見た時と、カラスが見た時では、どのような違いがあるのか。

杉田 違いはあるが、カラスに、どのように見えているのかは、わからない。ただし、カラスの視覚は、3原色と紫外線を合わせた四つの波長帯で色を識別するため、人間よりも細やかな色を区別できるはずだ。

――カラスではないが、トンボが太陽光パネルの表面を水面と勘違いして、パネル上に産卵する現象も起きている。

杉田 カラスは認識力が高い生き物で、水以外のものを水面と間違えることは考えられない。

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上空から落下した石などによって、ガラスが割れた太陽光パネル
九州の臨海地域にあるメガソーラーでの例。右の鋭角に切った黒テープの先端が、石が当たりガラスが割れた起点(出所:日経BP)

石を落すのはハシボソガラス、ハシブトガラスのどちら?

――そもそも、カラスはなぜ、太陽光パネルの上に石を落すのか。

杉田 遊びの一つだと考えられる。石に限らず、ゴルフボールなど、いろいろなものを咥えて飛び、上空から落とすといった遊びをすることは、よく知られている。

 上空から落とすだけでなく、地面に落下する直前に、さっと咥えてまた飛んで行く遊びもする。

 また、一部の地域の、さらに一部のカラスだけに見られる習性として、貝を咥えて飛び、上空から落とし、地面に落下させて、貝を割って身を食べる行動がある。

 同じように、道路上にクルミを置いて、走行する自動車に割らせて食べるカラスが仙台で確認されている。クルミがタイヤの位置から外れて失敗すると、置きなおして次に走ってくる自動車を待つ。遡上中のアユを捕獲するカラスもいる。

 カラスには、そのような習性はないが、何かの拍子に覚えて、周辺の何羽かが真似したのだろう。