国民負担の抑制は、2015年度以降の認定分に対する検討事項

――目先の問題として、太陽光発電の設備認定の総容量が60GW以上に達し、こうした設備が稼働し始めると、賦課金の電力利用者への負担額が膨れ上がる。FITの制度自体の継続性を危ぶむ声も聞く。

自民党の資源・エネルギー戦略調査会会長の山本拓・衆議院議員

山本 制度を止めることはないが、年度ごとに設備認定の条件を見直して調整していく。例えば、2013年度(2013年4月~2014年3月)に大幅に増えた分、2014年度(2014年4月~2015年3月)は減るだろう。

 誤解が生じていると困るが、例えば、36円/kWh(税抜き)で設備認定された発電所の電力を、20年間、36円で買い続けることに、変わりはない。日本は法治国家であり、一度法律で決めた制度を変えることはない。そのための「設備認定」だ。これまで契約した再エネの買取によって、国民負担が増えることはやむを得ないことで、そういう制度だと理解してもらうしかない。

――経産省の新エネルギー小委員会で、賦課金の負担が増えすぎることへの危機感から、固定価格での買取量の上限を設ける案が議論されたと聞く。

山本 それは、2015年度(2015年4月~2016年3月)以降のFITの契約内容についての議論であって、2014年度までに設備認定ずみの発電所に、さかのぼって適用するという議論ではない。

2015年のCOP21前には再エネ比率の目標を決める

――原子力発電所の再稼働の動向次第で、電源の構成比率が変わってくるとはいえ、再生可能エネルギーの比率の目標だけは、欧州などのように定めておき、その目標に基づいてFITを定めるのが筋ではないか。

山本 エネルギー基本計画の改定時にも、その議論があった。二酸化炭素(CO2)の排出量の削減目標と関連してくる。2015年末に開かれる国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)の前までには、国のCO2削減目標を示す必要がある。その前段の議論は今秋の国際会議から始まる。この会議に日本として手ぶらで参加するわけにはいかない。CO2を削減するには低炭素の電源を増やす必要があり、原発が動いていない以上、頼れるのは再生可能エネルギーしかない。

 そこで、政府全体で再生可能エネルギーの導入目標を示してほしいと要請した。そのための関係閣僚会議が開かれており、議論が進んでいくだろう。

 再生可能エネルギーの導入目標の決定には、経産省だけではなく、環境省、農林水産省、国土交通省、総務省、内閣府まで、多岐にわたる官庁が関連する。例えば、農林水産省は間伐材によるバイオマス発電への活用、総務省は地域での熱利用、国交省は汚泥によるバイオマス発電などに関心がある。

 また、地域分散型のエネルギー源の導入促進には、自治体のリーダーシップが欠かせず、そのために地方債を活用できるようにした。このように、多岐にわたる取り組みを融合し、地域の活性化や雇用を生み出す原動力としながら、普及してほしい。政府の新たな成長戦略にも盛り込まれ、それを実行に移していく段階になっている。

 太陽光発電で今後、長期的な課題になると感じているのは、使用済みの発電設備の廃棄の問題である。中古市場の健全な整備や、適切なメンテナンスによる長寿命化などの取り組みが求められる。