先頃、筆者は福島第一原子力発電所を訪問した。原発の安全解析に携わった経験を有するエンジニアからの視線で、見学した率直な感想を述べる。

 今回視察したのは、免震重要棟、原子炉注水ポンプ・処理水貯蔵タンク、事務本館、乾式キャスク仮保管設備現場、多核種除去設備ALPS(Advanced Liquid Processing System)、地下水バイパス揚水井、滞留水処理整備制御室、1~4号機外観確認、溶接型連結タンクエリア、凍土遮水壁実証試験現場、4号機原子炉建屋、乾式キャスク保管庫、5号機トーラス室、5~6号機海側施設、非常用ディーゼル発電機6B、夜ノ森線鉄塔倒壊現場、入退域管理施設の17施設。あらかじめJビレッジで東京電力関係者から福島第一原発の現状についてレクチャーがあった*1。その後、ホールボディカウンター(身体内放射能測定器)で身体内部放射能を測定し現地に向かった*2

*1 Jビレッジと福島第一原発での面会者・案内者は、東京電力副社長、福島第一原発所長、東京電力福島第一廃炉推進カンパニー社長(元福島第二原発所長)など計12名。

*2 ホールボディーカウンターは身体内の放射性物質が放射する透過性の高いガンマ線を利用し、施設作業前後の吸引放射能量を1分間測定することにより、異常の有無を確認する。

 施設見学前には、着替え室で定められた下着上下や難燃性作業服に着替え、木綿手袋、ゴム手袋、靴下、ヘルメット、ゴーグル、内部被曝防止用マスクを装着。作業服は、通気性があって動きやすく、昔よりも改善されているようだった(図1)。なお、作業服の両胸部には、縦横約15cmの透明部があり、アラーム携帯線量計などの定められた装備を携帯しているか、を入退域管理施設検査ゲートで確認できるようになっている。

図1 免震重要棟での着替え。ゴーグル、マスク(左右のピンク色部分はフィルター)を装着する。作業服の胸部左右には携帯必需品の確認がすぐにできるように透明になっている。
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