生体材料を使って高感度センサーを作る

 (3)の臨床連携研究分野では、「体内埋込デバイス・細胞治療・再生医療と臨床へのスムーズな展開」に取り組む。再生医療に向けた培養組織作製技術や、移植医療に向けた微細加工技術などがテーマである。

 この分野を担当する生産研 特任教授の興津輝氏が紹介したのが、細胞ファイバー技術の移植医療への応用だ。ラットの「膵島」と呼ぶ臓器由来の細胞ファイバーを作製し、糖尿病のラットの腎臓に埋め込むことで、血糖値を安定化させるという事例を紹介した。

 (4)の応用探索研究分野では、「ウエアラブルセンサー等の次世代型診断デバイスや非メディカル応用」に取り組む。ここでは生体材料を使ったものづくりを「環境センサーやロボット、食品など、医療以外の分野へも展開する」(応用探索研究分野を担当する、生産研 教授の竹内昌治氏)。

 例えば、生体内のイオンチャネル(膜たんぱく質)は「スーパーセンサーとして機能する」(竹内氏)。外界の物質を1分子レベルで検出でき、その信号を1000万倍に増幅するトランジスターとしても働くからだ。これを臭いセンサーに応用し、“ロボットの鼻”として使う事例を紹介した。この他、「ビッグデータ時代のトータルヘルスケアとして、多くの種類の生体情報を24時間解析してその変動を見る手法が有効だ」(同氏)と指摘。そのための生体センサーの1つとして、血糖値に応じて光る性質を備えたファイバーを活用した体内埋め込み型血糖値センサーを紹介した。

応用探索研究分野を担当する生産研 教授の竹内昌治氏
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