シスコシステムズは2014年6月13日、国内各地の大学および大学病院の医療情報システム担当者を同社各拠点に招き、医療・福祉・健康分野における適切な医療情報ソリューションの創造に向けた「シスコ ヘルスケア イノベーション カウンシル」を開催した。「第0回」と銘打った今回の会合では、(1)医療現場におけるスマートデバイスの活用について、(2)遠隔医療におけるリアルタイム・コミュニケーション・ツールとしてのテレビ会議システムの可能性や課題、という2つのテーマについてディスカッションが実施された。

 冒頭、シスコシステムズ パブリックセクター事業兼コマーシャルセクター事業専務執行役員の大井川和彦氏は、同カウンシル開催の狙いを次にように述べた。「医療情報システムに関わる方々が医療現場で直面している課題やニーズを、カウンシルを通して取り上げる中で、我々自身も学びながら、現場や業界に貢献できる技術やソリューションはどう在るべきか皆さんとともに考えていく場にしたい。ファシリテーター、事務局の立場で、今回の第0回の皮切りに継続的に発展させていきたいと考えている」(同氏)。

医療現場でのスマートデバイス活用を探る

シスコ
全国4カ所のシスコの拠点オフィスをテレビ会議システムで結んで開催された「シスコ ヘルスケア イノベーション カウンシル」の様子。参加した9名の医療情報システム担当者(パネリスト一覧は本記事の最終ページに掲載)はシスコシステムズの仙台、東京、大阪、福岡の最寄りのオフィスに集まり、同社のテレビ会議システム「Cisco TelePresence」を使って意見交換した

 まず議論されたのは、(1)の医療現場におけるスマートデバイスの活用について。従来の病院業務では、看護師の病棟のラウンド業務でノートパソコン、あるいは静脈注射や輸血実施の際に患者・薬液・実施者認証とオーダーを付き合わせる安全確認作業に特化したPDA(携帯情報端末)などが利用されてきた。この他、職員間のコミュニケーションツールとしてはPHS電話が主流である。

 それらを多機能でインテリジェントなスマートデバイスに代替していくことは可能なのか、最適な利用のためには最低限何が必要なのか――。実際の運用事例を挙げながらディスカッションが進められた。その結果、さまざまな業務を1つのスマートデバイスで運用していくためには、業務に適合し利用者に受け入れられるユーザーインタフェースを開発することの難しさが相次いで指摘された。