固定価格買取制度(FIT)によって国内に急増したメガソーラー(大規模太陽光発電所)は、電力会社の送電線網に連系し、20年間、固定価格で売電することで安定した事業性を確保している。そんな現在の太陽光発電事業の常識に反するのが、IHI相馬事業所(福島県相馬市)内にあるメガソーラーだ(図1)。同事業所では、約1MWのメガソーラーの発電電力をすべて事業所内で自家消費し、電力会社に売電していない。蓄電池と連携して電力需要のピーク時に活用し、電力会社からの受電量を減らすことで契約電力量を抑え、電力料金を削減している。

図1●IHI相馬事業所に設置された太陽光パネル(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 IHIの相馬事業所は、航空宇宙事業本部の4番目の生産拠点として1998年に第1工場を開設した。ジェットエンジンの部品などを素材から加工、組立まで一貫生産している。2006年には、西東京市にあった工場の閉鎖と生産拡大に対応し、第2工場も開設した。敷地面積は37万m2、協力会社も含め総勢で約1800人が作業に従事する大規模工場だ。

 国内の大手重工各社の発祥は古く、その工場も多くが歴史を感じさせる建物が多いなか、IHI相馬事業所は、比較的新しく、曲線の屋根に白壁の建屋は、「航空宇宙」に相応しく未来的な印象を受ける。2013年に導入したメガソーラーの太陽光パネルは、そんな相馬事業所の先進性を一層、強めている。