北海道の十勝地域は、広大な耕作地が地平線まで続く。農家1戸当たりの平均耕作面積は約38haと道内平均の2倍、全国平均の20倍以上にもなる。農業生産性の高さと高品質な作物から「十勝」は日本有数の農産品ブランドになっている。耕作地の生産力の高さは、太陽光発電の適性にも関連する。寒冷地だが、相対的に積雪が少ない。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のデータベースでも全国有数の日照量となっている(図1)。下図の北海道内の黄色部分が十勝地域になる。

図1●NEDOの日射量データベース(最適傾斜角日射量)。北海道の黄色部分が十勝地域(出所:NEDO)
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 固定価格買取制度(FIT)の開始を控え、2012年に入ると、十勝地域には太陽光発電の立地を求める大手資本のデベロッパーが殺到した。地元自治体に対してメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設できる土地情報の問い合わせが相次いだ。十勝管内の南部に位置する帯広市でも、市の担当者がメガソーラーの立地になりそうな土地を探し始めた。

 「遊休地になっている砂利の採石場跡地をメガソーラー用地に貸してもらえないだろうか」。ティー・ワイ(北海道河西郡更別村)の山内俊男社長は、市の担当者から2012年初め、こんな要請を受けた。ティー・ワイは、廃棄物処理や土木資材の生産・販売などを手掛けており、複数の砂利採石場を所有していた。そのなかには砂利の採取・生産が終わって、遊休地になっている土地もあった。