本記事は、国内外の特許情報などの公的データを収集・解析し、企業などの知財力を分析しているアスタミューゼ(astamuse)が2014年6月10日に公開したコラム「サッカー ブラジルW杯で注目を集める世界のトッププレイヤーが履くスパイクの秘密を分析」を基に、日経テクノロジーオンラインが再編集したものです。

 6月12日(現地時間)から始まる「2014 FIFAワールドカップ」(W杯)。約1カ月にわたるW杯の裏では、スポーツ用品メーカーの熾烈な開発競争も繰り広げられています。とりわけサッカーシューズについては、色や柄の外観以上に、素材や内部構造などの技術面が、試合の勝負を左右するほど重要な意味を持っています。

日本代表の清武弘嗣選手などが着用を予定しているアディダス社の「プレデター インスティンクト ジャパン HG WC」
日本代表の清武弘嗣選手などが着用を予定しているアディダス社の「プレデター インスティンクト ジャパン HG WC」
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 例えば独アディダス社の「プレデター インスティンクト ジャパン HG WC」は、左足での正確なキックが武器のドイツ代表メスト・エジル選手、前回王者に輝いたスペイン代表の司令塔シャビ・エルナンデス選手、日本代表の清武弘嗣選手などが着用を予定しています。このシューズには、トラップ、ドリブル、クロスの精度を高め、シュートの威力を増すために、ラバーが取り付けられていてスピン力を生み出すようになっています。インサイドに内蔵されたジェルパッドは、高いクッション性によってパス精度を上げる効果を発揮します。他にも足裏でのボールコントロールの精度を向上させるために、アウトソールに搭載されたコントロール・フレームパーツがグリップ力を高めています。

クリスティアーノ・ロナウド選手や長友佑都選手が着用を予定している「Nike Mercurial Superfly IV」
クリスティアーノ・ロナウド選手や長友佑都選手が着用を予定している「Nike Mercurial Superfly IV」
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 一方の米ナイキ社では、レアルマドリード所属でポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手や、セリエAのインテル所属で日本代表の長友佑都選手が着用を予定している「Nike Mercurial Superfly IV」が特徴的です。足首までを覆う独特の形をしています。このシューズに関連していると推測される米国特許もいくつか確認できます。いずれも2012年11月20日に出願されています。

  • 米国公開特許US2014137433 A1 "Footwear Upper Incorporating A Knitted Component With Collar And Throat Portions"
  • 米国公開特許US2014137434 A1 "Footwear Upper Incorporating A Knitted Component With Sock And Tongue Portions"