東亜DKKの開発研究センターにあるモニタリング施設。手前は単体の測定装置。
東亜DKKの開発研究センターにあるモニタリング施設。手前は単体の測定装置。
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 (前回はこちら) PM2.5測定装置の需要急増に伴い対応に迫られた東亜DKK。もともと古い設計に変更を重ねてきたため、部分的に品質過剰の部品などが投入されるなど全体として最適な設計になっていなかった。そこで、VE的な考えに基づいて機能体系図を作成。それに基づいて部品やユニットを見直した。

 具体的な部品やユニットの変更・改善に当たっては、「機会損失」という考え方で改善アイデアを出していった。現状は品質向上させる上でどのような点で機会を損失しているか、ムダを削減するのための機会を損失していないか---こうした視点で、関係者が改善のアイデア(テーマ)を出し合うのである。次に、妥当性や実現可能性を考慮して実際に取り組むテーマを絞り込み、具体的な構想案を策定。それを設計に反映させていった*2

*2 ジェムコ日本経営が保有している機会損失の視点を体系化したものを利用し、それをヒントにアイデアを出していった。

 製造面でも「加工プロセス実態把握表」と呼ぶ加工手順をまとめたものを作成した。材料投入から加工、検査までの工程を洗い直し、減らせる加工工程などがないかなどを見直すためのものである。一見簡単そうな加工も実は工数が掛かって要る場合がある。これを元に加工内容を分析することで、加工品質や加工コストを改善できる。同把握表を使うと加工という視点から設計を見直すことにもなる。例えば、多少高い部品を使ってもそれによって加工コストを下げることで、トータルのコストは減らせるといったことが明らかになってきた。それに伴い、製造現場から設計部門へのフィードバックも明確になった。

 多品種少量の受注生産だったこともあり、それまでは改善に工数を掛ける意識が薄く、あまり加工・組み立てのコストや工数に配慮した設計となっていなかったという。「全体を見て設計していこうという意識が根付いた。ものづくりの最初の段階で品質を作り込むことの重要性に気付いた」(開発本部水・大気技術ガス分析課課長の内田徹氏)。