東亜DKKのPM2.5測定装置
東亜DKKのPM2.5測定装置
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 東亜DKKは、大気汚染測定装置の国内シェア50%以上を占めるトップメーカー。大気汚染防止法の改正に伴い、環境省の評価試験に合格した自動測定装置が日本中の測定局に導入されることになり、同社の装置も合格機の一角を占めた。そこで、同社は生産子会社である山形東亜DKK(本社山形県新庄市)での量産体制の整備を進めていた。しかし、大きな問題に直面する。従来の設計・製造のやり方では需要に対応できそうになかったのだ。

 PM2.5の自動測定装置を出荷するには、定められた評価試験に合格しなくてはならない。2.5μm以下の微小粒子を計測する測定装置は、部品や組み立ての僅かなバラツキが測定精度に影響する。そのため組み上げた装置全てが評価試験に合格するわけではなかった。狙いの性能が出なければ1台ずつ原因を探し、部品やユニットを変更しながら所定の性能を確認してから出荷していた。つまり、組み立てた後に評価試験に合格するだけの性能が出るように「調整」という作業が必要だったのである。

 不合格には幾つかの原因があり、その究明と対策には技術と時間、予備の部品が必要となる。2012年春ごろまでは出荷数が少なかったため、最終調整に時間をかける余裕があり、歩留まりの悪さを問題視するほどではなかった。ところが、PM2.5の問題が大きくなるにつれ需要が急増。従来のように現場の経験と部品交換に頼る調整では納期に対応できなくなってきた。そもそも同社が必要として定めた評価試験を一通り実施すると1台当たり1週間程度かかる。調整と評価を繰り返していては出荷までに時間がかかりすぎるのだ。