「徹底した機能分析で設計を改善すれば、高品質と低コストを両立できる」---こう語るのは大気分析装置や水質分析装置を開発・製造する東亜ディーケーケー(東亜DKK、本社東京)の専務取締役である高橋俊夫氏。中国の大気汚染で近年大きな注目を集めるようになったPM2.5(微小粒子状物質)の自動測定装置の大手メーカーである同社は、急増する需要に対応すべく、VE(Value Engineering)的な手法を採り入れて、品質向上プロジェクトに取り組んだ。製造の手戻りを削減するべく部品やユニットを見直したことで、従来のものに比べて加工部品点数は1/4になり、組み立て工数が減って1000分ほどかかっていた組み立て時間も半減。製造品質が安定し、組み立て後の調整における一連の動作試験の初回合格率は22%から100%へと大幅にアップした。
連載
部品点数1/4、質量1/2に---PM2.5測定機の設計改革
目次
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「機会損失」視点でアイデアを出しまくる---東亜DKKの品質向上への挑戦(下)
PM2.5測定装置の需要急増に伴い対応に迫られた東亜DKK。もともと古い設計に変更を重ねてきたため、部分的に品質過剰の部品などが投入されるなど全体として最適な設計になっていなかった。そこで、VE的な考えに基づいて機能体系図を作成。それに基づいて部品やユニットを見直した。
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調整という名の手直し---東亜DKKの品質向上への挑戦 (上)
東亜DKKは、大気汚染測定装置の国内シェア50%以上を占めるトップメーカー。大気汚染防止法の改正に伴い、環境省の評価試験に合格した自動測定装置が日本中の測定局に導入されることになり、同社の装置も合格機の一角を占めた。そこで、同社は生産子会社である山形東亜DKK(本社山形県新庄市)での量産体制の整備…