画像認識によりパネルの「線」に沿って走行

 そこで、複数のセンサーを搭載し、それらから得られる情報を連携させて、正しい経路に補正する。前方には赤外線CCDカメラが取り付けてあり、画像処理によってパネルの「線」を検出して、それを支持線に直進し、ずれ始めたら補正する(図10)。「線」とはセル(発電素子)とセルの境、セルのなかに2~4本ある電極の線(バスバー電極)だ。「リソラ」が、薄膜型太陽光パネルに対応できないのは、こうした「線」がないからだ。また、傾斜センサーを内蔵しており、パネルの端で90度旋回する際は、傾斜センサーが本体の傾きを検知し、補正する。加えて、アレイの端から落ちずに止まるための、最後の砦として、本体の四隅に超音波センサーがある。同センサーは、パネル間の隙間の幅を検知するのにも使う。

図10●本体前方の黒い部分にCCDカメラを装着(出所:シンフォニアテクノロジー)
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 中村商品開発部長は、「さまざまな状況下でも、CCDカメラで支持線を的確に検出する制御に、思いのほか手間取った」と話す。複数のサイトや時刻で試験運転を繰り返すなかで、太陽の向きによっては、パネル表面で日光が反射しやすくなり、「線」が検出しにくくなったり、逆にパネル近くのビルが映り込み、それを「線」として検出してしまったりした。画像認識のソフトウエア技術を改善することで、こういた課題を克服していったという。

 メガソーラーでは、ほこりや砂、鳥の糞などによって太陽光パネルの表面が汚れ、発電量が低下することがある。同社によると、こうした太陽光パネルの表面の汚れによって、発電効率が最大約5%低下する場合があり、出力1MW当たり年間約100万円の損失に相当するという。人海戦術による清掃を自律型ロボットに置き換えられれば、発電事業の収支が改善する可能性がある。シンフォニアテクノロジー・インフラシステム営業部の千手裕治・インフラシステム営業部部長は、「すでにメガソーラーの発電事業者やEPC(設計・調達・施工)事業者、O&M(運営・保守)サービス事業者、リース事業者などから問い合わせが入っている」と言う。

■変更履歴
1ページ目の本文2段落目と図2の説明文、4ページ目の本文1段落目で「プロトタイプ2」としていましたが、「量産モデル」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2014/6/9]