メガソーラー(大規模太陽光発電所)が続々と立ち上がり、その運用や保守の効率化が課題になってきた。「太陽光発電システムは、可動部がなく保守に手間がかからない」と言われてきた。だが、実際に発電を始めると、草取りやパネルの清掃、点検など、定期的に人手が必要なO&M(運用・保守)業務も多い。膨大なパネルを並べるメガソーラーの場合、その手間やコストもばかにならない。また、屋根上など人手に頼れない危険な場所へのパネル設置も増えている。今特集では、こうしたニーズを見据えたロボット開発の最前線を追う。
PVロボット最前線
目次
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基礎近くや太陽光パネル下にも強い、果樹園向け乗用型草刈機に脚光
構造物への高い接近性が太陽光発電所の除草にも奏功
太陽光発電所のO&M(運用・保守)において、一般的になってきた手法の一つが、乗用型草刈機を使った除草である。全国各地の多くの発電所で、乗用型が使われている。
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20MWのパネルを2日で撮影し分析完了、ここまで来たドローン点検の現場
AI活用で2MWあたり分析時間はわずか「3分」
空からの太陽光パネル点検は、ドローン(無人小型飛行体)を応用したサービスとして、静止画像の空撮に次いで、いち早く市場が立ち上がった。ただ、その分、試行錯誤が続いており、日々進歩している。
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土木のドローン技術を、太陽光パネル点検に持ち込む滋賀のゼネコン
CISパネルにも挑む
太陽光パネルの点検を、ドローン(無人小型飛行体)を使って効率化する取り組みは、これまで発電事業者やO&M(運用・保守)といった太陽光発電関連の事業者、または、ドローン事業者によるものがほとんどだった。
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「高さ40cmの架台下も刈れる」、電動を生かしたリモコン型草刈機
除雪機での電動化の実績を生かす
蓄電池を動力とする草刈機が登場し始めたのは、最近のことである。ただし、現状では、動力をエンジンから蓄電池に変えただけで、蓄電池を使うことによる利点を効果的に生かした機種は少ない。ここにきて、電動ならではの利点を追求した機種が実用化されはじめた。
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ロボットが「草を踏んで」抑制、太陽光の雑草対策に新手法
「けもの道」にヒント、自律走行時の転圧で一定の草丈に
太陽光発電所のO&M(運用・保守)で、意外に厄介なのが雑草対策である。放置しておけば、事業性や安全性を損なう。パネルよりも高く伸びれば、影で発電量が減る。繁茂した状態で、アーク(火花)などから草に引火し、燃え広がる恐れもある。
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国内初、ルンバのように自律走行する「ロボット草刈機」
斜面や丈の高い雑草、基礎の横も刈れるように工夫
除草対策は、太陽光発電所の運営において、最も省力化や低コスト化したい作業の一つである。収益や安全性などに関連する作業ではあるものの、生産に直接関わってお金を生み出す作業ではないからだ。
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「太陽光パネルの下も刈れます」、乗用型草刈機の需要増で専用機も
自動走行機の開発も進む
太陽光発電所の運営において、発電事業者やO&M(運用・保守)事業者を悩ませるのが雑草対策である。太陽光パネルよりも高く伸びれば、パネルの上に影を落として発電量を下げる。さらに過剰に繁茂した場合、何らかの原因で発電設備がアーク(火花)を発した際に、枯れ草に燃え移って火災の原因となりかねない。周辺地域…
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斜面に強く、自在に走れるラジコン型草刈機、太陽光で活用
乗用型では難しい急な斜面も、安全で高効率に除草
メガソーラーのO&M(運用・保守)において、草刈り作業は効率化の余地が大きい。より効率的な手法として、ラジコン型の草刈機を採用するメガソーラーが出てきた。乗用型に似た機構と効率性を持ちながら、人が乗らないためにより傾斜に強い仕様にできる。
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空撮画像の分析も自動化、「誰でもできるドローン点検」目指す
2MWのメガソーラーでは「分析時間3分」に
メガソーラーのO&M(運用・保守)において、太陽光パネルの不具合の発見や点検は、効率化が最も求められる作業の一つとなっている。中でも、赤外線カメラを使ってパネルの熱分布画像を撮影し、それを元に不具合の疑われる箇所を特定する作業は、手間のかかる分、効率化の効果が大きくなる。
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ドローンによる「3次元測量」、木で覆われた土地形状をデータ化
林地を活用した大規模な太陽光開発を効率化
2017年夏、神奈川県の森林で、ドローンを使ったレーザーによる3次元測量が実施された。この森林は、日本コムシスが、メガソーラーの開発候補地としている。事業性を評価するにあたり、森林に隠れて見えない地面の形状を正確に把握するために実施した。
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「ドローン点検」でメガソーラーの不具合をその場で次々と発見!
不良パネルの特定からメーカーとの交渉代行まで一貫サービス
1月中旬、甲信地方にある出力約3MWのメガソーラーで、ドローン(無人小型飛行体)を使った太陽光パネルの点検が実施された。調査を担当したのは、エネテク(愛知県小牧市)である。
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太陽光発電所も「ルンバ」のような除草でサッパリ!自律ロボットを活用
芝刈り用機種を応用し、無人でこまめな草刈りを実現
太陽光発電所の雑草を刈る手法として、多くの発電事業者が理想的なイメージとして挙げるのは、米iRobot社の室内用ロボット掃除機「ルンバ」の草刈機版である。
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「ラジコン型草刈機」でメガソーラーを除草、イタリア製の機種を採用
高速道路の法面など広範囲を効率的に除草、60度の斜面に対応
メガソーラーの除草作業を効率化する手法の一つとして、イタリア企業の製品化した「ラジコン型の草刈機」が提案されている。除草作業では、面積が広いほど、効率化が課題となる。機械による除草では、従来から広く使われる刈払機のほか、ゴーカートのように運転して走りながら除草できる回転刃を備えた「乗用型草刈機」が広…
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10MW超向けの大型機も開発、中東やインド狙う太陽光パネル清掃ロボット
高速化、大型化、灼熱地に対応した改良型も
未来機械(高松市)は、香川大学の研究者が中心となって創業したベンチャー企業である。太陽光パネルの清掃ロボットなどを開発している。
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国内最大・六ヶ所村の115MWも点検、綜合警備保障の太陽光向けドローン
全国で拠点を拡充、需要の拡大に応じる体制を整備
綜合警備保障は、ドローン(無人小型飛行体)を応用した太陽光発電向けサービス事業をいち早く手掛けてきた。本格的にサービスを始めてから2年以上経ち、2017年度を通じて、この事業をさらに拡大させるための体制を整備していく。
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ブラシを使わず「非接触」でパネルの汚れを除去
1MWあたり50万円で洗浄サービス
太陽光発電所のメンテナンス関連サービスを手がけるGolden Leaf-Works(東京都江東区)は、ブラシを使わず、非接触で太陽光パネルを洗うロボットを開発した。
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徳島県、「ドローンと人手の差」を検証、メガソーラーの定期点検で
撮影角度が発見しやすさに影響、コストも評価
徳島県企業局は、メガソーラーの定期点検における、ドローン(無人小型飛行体)の活用の効果を検証した。
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大手電力や消防も活用する「太陽光向けドローン」の老舗、フカデン
井桁構造の機体で軽量化、飛行時間と着地の安定性を向上
中部電力は2014年、電力設備の点検にドローン(無人小型飛行体)を使うことで効率化する研究を始めた。高圧送電線などのほか、太陽光発電所も、その対象となった。
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傾斜に強く、人の背より高い雑草も刈り込める4駆の草刈機
現地での実演を繰り返し、太陽光発電所向けに改良
地上に設置した太陽光発電所の運営で、避けて通れないのが雑草対策である。太陽光パネルに影を落として発電量を下げるだけでなく、繁茂した場合、花粉や種、害虫などが飛散することで、近隣からの苦情を誘発しかねない。
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ゴーカート感覚の草刈機、三交不動産がメガソーラーで活用
自作のカバーで石の飛散を防止
三重交通グループホールディングスの事業会社である三交不動産(三重県津市)は、運営している太陽光発電所で、乗用型の草刈機を活用している。ゴーカートのような小型4輪の草刈機で、4輪の間にあたる椅子の下に、草刈りユニットを備える。その中で刃が回転することで、雑草を刈る。