このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。第5回からは、同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって解説している。

 今回は、太陽光発電システムが原因で発生した「AM(中波)ラジオへのノイズによる騒音障害」について、紹介します。

 太陽光発電システムを工場建屋の屋上に設置した顧客から、系統連系し始めてから間もなく、「太陽光発電システムを設置して以降、工場の周囲の道路を自動車で走行している時に、AMラジオの放送にノイズが混ざって聞き取れなくなった。このノイズの原因が、太陽光発電システムにあるのならば、工場の周囲にある住宅や企業への影響が心配だ」という相談を受けました。

 この工場と道路の間は、20m以上離れた場所にあります。

 太陽光発電システムによる無線へのノイズでは、パワーコンディショナー(PCS)を原因とするものが知られています。PCSが、太陽光パネルから入力された直流電力を交流電力に変換する際、約3m以内の距離に置いてあるラジオやテレビ、無線機などに、受信障害を引き起こす恐れがあるというものです。しかし、PCSから20mも離れた場所で、こうした影響が生じることは滅多にありません。