プロジェクターは、立体形状を生かした表示を実現する最も手軽な機器である。そのときプロジェクターに求められるのが「+α」の機能だ。立体形状を持った投影面との組み合わせや動的な補正機能の装備が新しい体験をもたらす。

 「プロジェクターの最大の利点は、投射面の形状を自由に変えられることだ」。あるメーカーでプロジェクターの開発に従事する技術者は、こう語る。プロジェクターを使えば、平面でも長方形でもない立体型ディスプレイを比較的容易に実現できる。映像を表示したい領域だけに、立体物の形状に合わせた補正をかけた上で投射すればいいからだ。

 その可能性に強い興味を示している業界の一つが、自動車メーカーだ。例えば三菱電機は車載向けに、任意の曲面や形状の投影面に背面から投射して映像を表示するディスプレイ・システムを2013年2月に発表した。現在は「顧客からの引き合いがあり、製品開発を本格化させている」(同社)という。

 他のプロジェクター・メーカーからも同様の声が聞こえてくる。プロジェクターを使った立体型ディスプレイの実用化は近い。その後は自動車をはじめとする多様な分野で使われることになりそうだ。