「荒尾市初のメガソーラー」

 全国規模で建設地を探していたヒラオカ石油がこの地を選んだのは、“適地”の条件を満たしていたためだ。「土地探しや賃借交渉でも、(全国の企業情報を扱う)前職の経験や人脈が生きた」と野瀨執行役員は話す。

 万田抗からほど近く、かつて三池炭鉱を所有していた三井鉱山の遊休地を開発した九州最大のアミューズメントパーク、グリーンランド遊園地の近隣の3万m2の敷地である。土地所有者である遊園地の運営会社グリーンランドリゾートではゴルフ場の開発を検討したこともあったが、遊休地のままになっていた。周囲には小高い山や丘があるが、野瀨執行役員らは現地調査で日照を遮るものがないことを確認した(図6)。送電線も比較的近くを通っていた。グリーンランドリゾートと、1m2当たり年間200円で20年間の賃貸契約を結んだのは、FIT制度が始まってから3カ月後の2012年10月のことだ。

 「早い時期からメガソーラーに取り組んだことが、地元での信用を高めることにもつながった」と平岡社長は振り返る。敷地の賃借契約が成立した直後、地元紙などが「荒尾市初のメガソーラー建設」などと報じた。

 日照に優れる九州ではメガソーラー建設を推進している自治体が多く、荒尾市のある熊本県も積極的だ。2012年に策定した「総合エネルギー計画」では、「新エネルギーの導入促進と省エネの取り組み強化により、県内の家庭の電力消費相当量(原油換算で100万kL)を賄う」という目標を掲げている。

図6●北側に小高い山があるが影はできない(出所:日経BP)
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