4メーカーの太陽光パネルを比較検証

 加えて、新築した事務所棟の2階屋上に、太陽光発電、燃料電池コージェネレーション(熱電併給)、蓄電池、エンジン発電機などを連携させる自立型の「新エネルギーシステム」を導入した。災害時に停電しても長時間、電源を確保するのが目的だ。旧事務所棟は、大津波で1階部分まで浸水し、外部との通信機能まで滞った反省から、電気室や電話交換機室などの重要設備はすべて2階以上に設置した。西地区のメガソーラーと事務所棟の自立型エネルギーシステムとはまったく別のシステムで、連携していない。

 西地区に設置したメガソーラーは、2013年2月に完成し、東北電力への売電を始めた。事務棟や主要設備のある東地区と、メガソーラーを建設した西地区は、川で隔てられており、東西連絡橋で結んでいる。連絡橋の欄干は、敷地よりも少し高くなっており、東地区から西地区に向かって渡ると、橋上からメガソーラー全体を見渡せる。

 災害対応を考慮し、仙台製油所メガソーラーには、送電網が停電しても発電できる自立運転機能を備えた。また、同社初のメガソーラー建設だったため、複数メーカー製のパネルを設置し、発電量などを検証している。事業運営のリスクを考慮すれば、西地区は最も津波被害を受けやすい区域なので、通常ならメガソーラーの立地には向かない。だが、「発電事業というより、東北復興の象徴、停電時の電源確保という意味合いが大きい。被災時に火災などで迷惑をかけた地域社会に対して、少しでも貢献したい」というのが、JX日鉱日石エネルギーの考え方だ。

 太陽光パネルには、米国サンパワー製(図3)、韓国LGエレクトロニクスがOEM(相手先ブランドによる生産)供給した長州産業製(図4)、中国インリーソーラー製、中国トリナソーラー製を採用した。長州産業とサンパワーは単結晶シリコン型、中国2社は多結晶シリコン型だ。JX日鉱日石エネルギーでは、異なるパネルによる発電量の比較検証データを公表していないが、概ね各パネルの変換効率に見合った発電量になっているという。また、発電量を遠隔監視する仕組みとして、パネルの直流回路ごとの発電量を把握できるストリング監視システムを導入しており、パネルの不具合を早期に発見できる監視・分析技術の検証にも取り組んでいる。

図3●米国サンパワー製の単結晶シリコン型太陽光パネル
(出所:日経BP)
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図4●長州産業製の単結晶シリコン型太陽光パネル概況
(出所:日経BP)
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