ガイドラインに基づいて作成された3DAモデルを受け取った金型メーカー2社は、その中に含まれる金型要件を見ながら金型設計を開始した*1。果たして、期待通りに金型要件の確認や問い合わせなどの工数を削減できたのだろうか。
*1 実証プロジェクトのメンバーにはJEITAの会員企業だけでなく、金型工業会も加わっている。
問い合わせ工数はほぼ半減
金型設計では、製品設計から受け取った3DAモデルから製品形状や金型要件の情報を得て、金型の構造や形状を決めていく(図1)。金型をどう分割するのか、スライドをどこにどう配置するのか、エジェクトピンやゲートをどこに配置するのかなどを決めるのだ。
実証プロジェクトでは、金型要件などを確認するための問い合わせに要する時間を、3Dモデルと2D図面を使った従来の方法と3DAモデルを使った方法で比較した(図2)。すると製品設計と同じ3D-CADを使っているK社では44%、異なる3D-CADを使うN社では48~49%の時間を削減できたことが明らかになった。
しかし、逆の言い方をすれば、この結果はまだ半分以上の問い合わせ内容が残っていたことになる。金型要件を盛り込んだとはいえ、製品設計者と金型設計者の間での確認作業が無くならなかったのだ。次に、その理由を具体的に見てみよう。
実証プロジェクトを進めていく中で、金型設計の担当者から製品設計の担当者へと伝えられた主な問い合わせ内容は表のようになる。
今回見つけた課題の内、PM3の項目としてガイドラインに追加できる内容も明確になったため、さらなる効果も期待できる。