今回のシリーズでは、中部電気保安協会の本店保安部太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。今回からは、同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって解説していく。
太陽光発電設備が運用を始める前には、必ず「竣工検査」を実施します。竣工検査の目的の一つは、発電システムに生じるトラブルを未然に防ぐことですが、その点で特に重要なのが「目視による外観点検」です。
太陽光発電システムは、発電設備メーカーなどによる長期間の保証があり、さらに、故障が少なく、壊れにくいというイメージがあります。しかし、実際には、運搬時や施工時に、発電設備が損傷してしまっているケースがあります。そこで、竣工検査でこれらの不具合を見逃さないことが重要になります。
メガクラスの大規模な太陽光発電所になると、太陽光パネルやパワーコンディショナー(PCS)などの発電システムを構成する機器の数が多くなり、施工のミスが発電時の出力に大きな影響を及ぼす恐れがあります。このため、設計仕様書どおりに施工され、接続の誤りや、接続の忘れなどがないか、目視によりしっかりチェックしなくてはなりません。
今回は、この外観点検時に、点検を担当した当協会の職員が発見した不具合の事例として、「パワーコンディショナー(PCS)の端子台の焼損」を紹介します。PCS内の直流の端子台に短絡痕があるトラブルです。
ある太陽光発電設備の竣工検査において、配線の接続状況を確認するために、PCS内の端子台を確認しようとしたところ、端子台の直流回路のプラス側の端子が黒く焦げた状態になっていました(図1)。