JR熊本駅から豊肥本線の各駅停車に乗り1時間半ほど。阿蘇山観光の玄関口となっている阿蘇駅に着く。オムロングループで、太陽光発電用パワーコンディショナー(PCS)を生産するオムロン阿蘇(熊本県阿蘇市)は、阿蘇駅からクルマで10分ほど、阿蘇五岳を南に望む裾野にある。売上高は138億3000万円(2012年度)、従業員282人(2013年4月現在)。オムロングループ全体の連結売上高6505億円(2012年度)、グループ従業員3万5411人(2013年3月31日現在)という中にあっては比較的、こぢんまりとした会社だ。

図1●屋外にも設置できる「KP□M」(4.4/5.5kW)
(出所:日経BP)
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 オムロンが太陽光発電向けのPCSを製品化したのは1994年。それ以来、2012年度までの18年間に出荷した総出力容量は約2000MW(2GW)に達する。2012年7月に固定価格買取制度(FIT)が始まったことで、2013年度は需要が急増し、同年度の1年間だけで、出荷量は約1500MW(1.5GW)になる込みだ。FIT開始に備え、2012年9月に屋外にも設置可能な「KP□M」(4.4/5.5kW)を製品化したことで、50kW未満の低圧で連系する需要の取り込みに成功した(図1)。例えば、5.5kW機を9台設置することで49.5kWになり、キュービクルなしで系統連系できる。