「ネット時代の健康管理」と題したセミナーが、2014年2月14日に東京都内で開催された。日本心臓財団が主催する第17回 メディアワークショップである。同セミナーでは、災害支援といった急性期から日常の生活習慣病管理といった慢性期に至るまで、ITを活用して血圧などを管理することの有効性が講演者である医療従事者から相次いで指摘された。

被災地での血圧管理の経緯を語る

 最初に登壇したのは、自治医科大学附属病院 循環器内科 主任教授の苅尾七臣氏。講演タイトルは「災害時の心血管リスク予防からITを用いた慢性期リスク管理の現状と展望」。

 苅尾氏はまず、阪神淡路大震災が発生した1995年当時、震災地周辺で勤務していたことから、災害関連疾患の経時的変化や震災後の被災者の血圧変動などのデータを記録していたことを説明。そのデータや経験から、「災害時の心血管リスクを予防するためには、血圧の管理が重要であることが分かっていた」(同氏)という。

講演する自治医科大学附属病院の苅尾氏
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構築した災害時循環器予防ネット
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 そうした中、東日本大震災が発生。苅尾氏らは、津波で被害を受けた宮城県南三陸町において、災害時循環器予防ネット「Disaster Cardiovascular Prevention(DCAP) Network」を構築した。心血管リスクの高い被災患者を対象に、血圧変動が異常な患者に積極的な医療介入を図る仕組みである。