公租公課が民事再生への障害に

 生き残りを目指す浄風会は、2011年夏前、医療機関の再生支援を手がける(株)キャピタルメディカ(東京都港区)の支援を受けることにした。2010年6月には、中国銀行が同社に9億4442万円の債権を譲渡している。

 だが、結局は破産を選択することになった。キャピタルメディカ取締役の原享弘氏は、「50床規模で15対1の入院基本料では、採算を合わせるのは無理な話。民事再生も、カットできる債権に含まれない税金や社会保険料の滞納がある以上は難しい」とその理由を話す。

 破産申し立て時に浄風会は、河本病院に40人、老健施設に30人の入院患者らを抱えていた。破産を申し立てれば、数日以内に入院患者をすべて退院させ、診療を休止するのが普通だ。

 しかし、ほかの病院や高齢者施設が受け入れに難色を示す患者・入所者が少なくないという事情があった。そこで裁判所は、特別に事業の継続を許可した。法律上、債権者に対する配当を減らさなければ事業の継続を認めてもいいとされているが、実際にはこうした例はほとんどない。原氏は、「裁判所や県に働きかける一方、つなぎ資金を融資して事業継続を図ってきた」と話す。今は事業譲渡に向けて動いているという。

 事業継続が認められるという異例の展開になった浄風会の破産。裁判所による事業継続許可はいつまでも続くわけではない。診療停止か事業譲渡による存続か、ここ数カ月が本当の意味で正念場だろう。