バイパスダイオードが焼け焦げることも

――具体的には、どのように不具合を発見していくのか。

橋本 例えば、太陽光パネルの不具合では、「ストリング」と呼ばれる、直流接続した十数枚単位の太陽光パネルの回路ごとに監視することによって、まずストリング単位で出力される発電量や電圧を把握する。発電所全体で、ストリングごとの発電量を比べることで、発電量が不自然に低いストリングを把握し、そのストリングを構成している太陽光パネルのうち、どのパネルで不具合を生じているのかを、温度を測る赤外線カメラを使って見つけ出す。

 これについては、竣工時の検査から、中部電気保安協会で取り組んでいれば、竣工時の検査結果との比較によって、より迅速に不具合を発見できる。

 配線が接続されていない太陽光パネルがあった場合、赤外線カメラによる画像では、太陽光パネル全体が赤色になる(図2)。太陽光が電気に変換されず、熱となってしまうために、全体の温度が上がってしまうからである。

図2●赤外線カメラで見ると、上と中央のパネルにホットスポットがあり、下のパネルが接続されていないことが一目でわかる
(出所:中部電気保安協会)
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 この場合、通電しないだけで、熱として放出され、太陽光パネル自体が焼け焦げるようなことはない。ただし、太陽電池セルの不良によって「ホットスポット」と呼ばれる現象が生じると、温度が加速度的に上昇し、太陽光パネルの裏面のバックシートが焼け焦げてしまう(図3)。

図3●太陽光パネルの不良や不具合によって、バイパスダイオードやバックシートが焼け焦げた例。左上のバイパスダイオードが焼け焦げた例は、産業技術総合研究所の太陽光発電設備で撮影したもの。
(出所:中部電気保安協会)
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