このデータベースを使って調べるとわかりますが、太陽光パネルを置く方位を真南(方位0度)とすると、最適な設置角は、ほぼ緯度と一致します。ただし、方位を真南以外にすると、最適な設置角は変わってきます。

 方位を真南とするのは、周囲に影となる障害物がない場合、最も日射量が多くなる方位だからです。このため、多くのメガソーラーにおいて、太陽光パネルを設置する方位は真南となっています。

 例えば、緯度が35度の東京では、真南に向けた場合、最適な設置角も35度付近となります。この35度で太陽光パネルを設置した場合の年間予想発電量を100%とすると、設置角を小さくして、20度とした場合には概算で98%、10度の場合には94%の年間予想発電量となります。逆に設置角を大きくして、40度とした場合には99%、50度の場合には97%の年間予想発電量となります。

 ただ、実際にメガソーラーで設置角を決める場合は、パネル自体の影が後ろのパネルにかかることによる影響や、地域よっては積雪や風の影響も考慮に入れて決定します。限られた広さに多くのパネルを設置するために架台の間隔を狭くすると影がかかりやすいので、設置角を30度より小さくすることも珍しくありません。

 また、強風地帯では、設置角を大きくすると風圧荷重が増えて、太陽光パネルを固定する架台や金具、基礎に要するコストが増えます。逆に雪国では、最適な傾斜角が緯度に比例することもあり、設置角を大きく取って、パネルに積もった雪を滑り落とすことを想定することが普通です。設置したいパネルの枚数、その土地の気候を加味し、設置コストと売電量の増減をシミュレーションするなど総合的な判断になるでしょう。

 理想的な条件が得づらい場合には、太陽光パネルを変える選択があります。太陽光パネルを構成する太陽電池の種類によって、影の影響を受ける時の発電効率に優れる特性のものがあるからです。

 パワーコンディショナー(PCS)の制御から見た留意事項は特にありません。

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