院内でも積極的に活用されているFileMaker

 北星脳神経・心血管内科病院、北見循環器クリニックでは、院内でもFileMakerを利用した業務システムを医療者自らが開発・運用している。

北星脳神経・心血管内科病院の院内ポータル。FileMakerで作成した各業務ツールの入口になっている。
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 北星脳神経・心血管内科病院は、病院予定や施設予約、非常勤医師の送迎予定などのグループウエア機能、病床管理や健診・脳ドック予定管理・結果報告、物品請求などの業務システムをFileMakerで開発、院内ポータルを立ち上げて運用している。特に病床管理システムは、入院機能に関するさまざまな機能を実装。電子カルテのベッドコントロール、空床管理より使い勝手の良い、重要なアプリケーションになっている。

 病床管理システムでは、入院予定患者管理、一般病床(急性期患者)から療養病床(慢性期患者)への転棟を一画面で管理できるよう工夫されている。また、看護必要度のアセスメント情報を電子化して実装し、スコアの自動計算や施設基準届出様式に沿った出力ができる。さらに、病床利用率、1日あたりの収益目標・実績、収益差額、月損益なども同じ画面に表示される。

北星脳神経・心血管内科病院の重要な業務システムの1つとなっている多機能な病床管理システム。
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 「次々に上がってくる現場の要求を実装してきた結果、多機能な病床管理システムになりました。FileMakerの優れているところは、現場が欲している機能を迅速に、コストをかけずに実現できること。日本語でデータベースを作成することが可能で、プログラマーでなくとも容易に開発できます」(医療情報管理室室長 田頭剛弦氏)という。

FileMakerで管理している検査結果・透析条件。
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 透析ベッド50床を有する北見循環器クリニックは、主に人工透析管理をFileMakerで行っている。透析記録管理では、透析条件、投与薬剤、使用ダイアライザーなどの記録、標準化透析量(Kt/V)・蛋白異化率(PCR)・時間平均BUN(TAC BUN)などから判定する透析量の過不足の計算といった、さまざまなデータを記録・管理しなければならない。

 「透析カルテとしては、既存の電子カルテはほとんど使えません。特に電子カルテ上で計算させることは難しいため、FileMakerで構築した透析管理システムが必須です」と院長の今野敦氏は指摘する。

患者にわかりやすいよう説明を加えた血液検査結果票。
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 また、同クリニックでは検査データを基にした患者説明用の資料、企業健診の結果管理・提示などにもFileMakerで自ら開発したシステムを活用している。「血液検査データを患者さんに渡すにしても、普通は検査結果と正常値が示されているだけ。しかも略号が多く使われているため、理解しにくい。何のための検査なのか、数値が何を表し、そのデータが標準値からどれほど逸脱しているかを色分けして表示するなど、わかりやすい検査結果表にして渡しています。自分の思ったように容易に作成できることが、FileMakerの大きなメリットです」(今野氏)と述べる。