• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

お薦めトピック

加古川東市民病院(兵庫県加古川市):診療支援システムと電子カルテとのシームレスな連携運用を実現

FileMakerとEGMAIN-GXの連携モジュール開発を電子カルテベンダーがサポート

2013/04/04 00:00
増田克善=医療ITライター

 加古川東市民病院は、旧神鋼加古川病院時代からFileMakerを利用した数々の独自開発の診療支援システムを運用してきた。2012年7月の電子カルテ(HOPE/EGMAIN-GX)導入を機に、それらの診療支援システムと電子カルテとを連携して運用する仕組みを構築した。長年蓄積してきたシステム資産を生かしながら、各種情報を電子カルテシステムと双方向で連携させ、システムの合理化や医事情報のシステム間共有を可能にした。


 2011年4月、加古川市民病院(現加古川西市民病院)と神鋼加古川病院が統合・再編し、地方独立行政法人 加古川市民病院機構として新たにスタートした。加古川東市民病院は、神鋼加古川病院が再編成する形でその機構を構成する医療機関となっている。

加古川東市民病院の外観

 全国的に公立病院などで医師・看護師不足が深刻化していた中で、加古川市民病院も2009年度には常勤内科医師が1人まで減少するなど、医療崩壊の危機に瀕していた。一方、旧神鋼加古川病院は企業立の総合病院だが、地域住民の受診率が9割を超えるなど地域医療の中核を担ってきた。両病院とも神戸大学医学部が医師派遣元の医局となっており、加古川市の要請と同大学の指導の下、地域貢献の最善策として両病院の統合・再編に至ったもの。

 また、両病院とも建物が築後35~40年経過して老朽化しており、建て替え時期を迎えていたことも統合・再編を後押ししたという。2016年秋には、市の中心部にヘリポートを備え、603床を有する「加古川新統合病院」(仮称)をオープンする計画を進めている。

 加古川東市民病院は心臓血管センターを持ち循環器系医療に強く、加古川西市民病院は小児および新生児医療の地域での中核機能/地域周産期母子医療センターを担い小児科・産婦人科が強いなど、専門性の異なる診療科が多いため、医療機能の相互補完により統合・再編の相乗効果を図り、安定的で継続的な医療を確保する体制が構築される。

病院情報システムをユーザーメードで開発・運用

 加古川東市民病院は、電子カルテ導入こそ2012年7月と遅かったものの、医療のIT化、特に診療支援のシステム化には90年代末から積極的に取り組んできた。その診療支援システム化を牽引してきたのが、放射線科医の中村徹氏(現放射線科部長)と現在名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター長の吉田茂氏、そして神戸製鋼のシステム開発・販売部門から転身した現事務部長の櫃石秀信氏である。吉田氏は、現在も加古川東市民病院の小児科非常勤医師として週1回勤務している。

 当初は中村氏が数々の放射線科部門システムを、吉田氏が小児科診療支援システムを、FileMakerを利用してそれぞれ開発・運用していた。櫃石氏が病院に異動してからは中村・吉田両氏を中心に、医療業務システムの開発に興味を持つ薬剤師や理学療法士など職員をシステム講習でスキルアップを図り、多くの診療支援システムを立ち上げてきた。

事務部長の櫃石秀信氏

 「単に一部の職員が自分の業務のために開発するのではなく、病院としてFileMakerによるシステムを公式の病院情報システムと認め、医療機器投資と同等のIT化投資を行いながらシステム環境を整備し、病院として管理・運用してきました。また、診療現場を知るSEが必要という考えから、2003年に院内にSE担当を配置して人材育成にも注力してきました」(櫃石氏)と院内IT化を推進してきた経緯を話す。

 櫃石氏は、病院情報システムを構築・運用していくうえで、診療現場を知るSEを自院内に配置することがベンダーとの協議・協働を実のあるものにするという信念を持ち、人材育成に努めてきた。現在、院内のSE担当は両病院合わせて8人(櫃石氏を除く)。特に、それらSEを含め医療情報技師の資格を有する職員が多数在籍することが1つの特徴でもある。

 医療情報技師は日本医療情報学会が資格付与するものだが、有資格者はベンダーSEが多い。両病院は、SEをはじめ薬剤師、放射線技師など9人が資格を持つ珍しい存在だ。さらに、櫃石氏と経営戦略室長 筒井威至氏は、全国で250人しかいない上級医療情報技師の資格を持ち、医療業務と医療情報の両方に造詣が深い人材を擁している。

 こうしたメンバーが診療現場の要望・需要の下に開発した診療支援システムは、入退院管理(指示、処方箋、病床管理)、病歴、インシデントレポート、クリニカルパス、医薬品情報、放射線検査予約、画像診断レポート、心臓カテーテル検査、人間ドック予約、手術予定表、患者待ち番号表示システム、薬剤・検体検査オーダリングシステムなど、多数のデータベースが開発・運用されてきた。これらのシステム開発には、FileMakerとJavaベースのエンドユーザー向け開発支援ツール、Cyber Framework(サイバー・ラボ)が利用されてきた。

加古川東市民病院の医療情報システム構成図
[画像のクリックで拡大表示]

日経デジタルヘルス Special

記事ランキング