FileMaker連携モジュールで電子カルテとのシームレスな連携

 電子カルテ導入により、オーダリングやカルテ記事などは基本的にEGMAIN-GXの機能を利用し、それまでFileMakerで運用してきたシステムも電子カルテ機能に移行したものも多い。現在運用されている独自開発の診療支援システムは主に、小児科総合管理システム、心臓血管外科支援システム、循環器内科支援システム、手術室支援システムなど、電子カルテの機能にはない診療支援データベースである。

診療現場のニーズに基づいて開発・運用されてきたFileMakerによる診療業務支援システム(診療業務支援システムポータル画面)
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電子カルテではサポートされない新生児管理システムなどがFileMakerで開発されている。
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 「EGMAIN-GXと連携するモジュールが拡張子fp7(FileMakerのバージョン7~11)を対象としているため、電子カルテ導入のタイミングで従来の診療支援システムのバージョンアップを行いました。その際に今後も必要なデータベースをfp7コンバートしたり、作り直したりして、データベースの整理を実施しました」(吉田氏)。

 実際の連携は、電子カルテ側からのFileMakerの起動、電子カルテ利用者・患者情報のFileMakerへの引渡し、オーダーツールのFileMaker側からの起動連携、電子カルテへの診療記録の転記などである。電子カルテ画面にFileMakerメニューがあり、患者カルテからFileMakerの各診療支援システム(データベース)を直接起動できる。その際に、EGMAIN-GXは5人までの患者カルテを同時に起動できるため、FileMakerの患者ファイルもそれに追随して起動する。

 この起動・データ連携の仕組みは、電子カルテ側で出力するテキストファイルによってFileMakerを起動すると同時に、FileMaker側で利用者情報/患者基本情報を読み込むものだ。また、FileMakerの診療支援システム上に入力した診療記録は、電子カルテ書込みボタンを押すと、例えばSOAPの各フィールドに入力したコメントや数値データが電子カルテのプログレスノート欄に転記される。

診療業務支援システムに入力された情報は、ボタン1つでEGMAIN-GXのカルテ記事に転記される。
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 電子カルテは診療録保存の法的根拠としての機能を担うが、診療支援のために必要となるすべてのデータを記載する機能を実装するのは困難であり、データを横串で分析するには不向きな仕組みである。それを実現し、診療に有用な情報(インテリジェンス)を得るために活用されるのが、FileMakerなどによる診療支援データベース。データ活用には用途に応じた柔軟性、ユーザーのニーズに応じたツール開発が容易であることが求められる。

 「例えば、小児科外来のインフルエンザやRSウイルスなどの感染症発生状況などの統計を、電子カルテのデータから処理することは困難。検査データをCSVファイルに書き出してもらいExcelなどで加工処理できますが、その都度の手作業が必要であり、更新作業は煩雑です。検査データを直接FileMakerで取得できる仕組みがあれば、ツールの操作のみでリアルタイムな分析・表示が可能です」(吉田氏)と、ユーザーメードの診療支援ツールの有用性を強調する。

感染症報告などの統計処理などは、電子カルテから検査データを取得し、リアルタイムに統計処理できる。
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