“体重計”に乗るだけで心拍を測定――。

 このような技術を開発しているのは、2013年7月17日に開催する「次世代医療機器サミット2013 ~次世代センサが切り拓くヘルスケアの未来~」において、「MEMSセンサが切り拓く新たな患者モニタ・介護の可能性」と題して講演する予定の村田製作所である。


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展示会での実演の様子

 村田製作所は、2013年4月に開催された「MEDTEC Japan 2013」において、冒頭のような技術を展示した。同社のMEMS加速度センサの応用例の一つとして提案したものである(関連記事)

 この技術は、心弾動図(BCG、ballistocardiogram)を加速度センサを利用して測定するもの。心弾動図は、心臓の物理的な動きに伴って生じるわずかな体の動きのこと。それを、体重計型の装置やベッドに搭載した加速度センサを用いて検出し、心拍を測定しようというわけだ。

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傾斜センサ

 BCGは極めて細かい動きであるため、「一般的な加速度センサに比べて約50倍の精度」(村田製作所 センサ事業部 第2センサ商品部 FAE課の木村正幸氏)を備えるセンサを利用した。具体的には、重力加速度1Gの1/1000の小さな振動を検知できるという。同社が傾斜センサと呼ぶもので、2012年1月に買収したフィンランドVTI Technologies社(現・Murata Electronics社)製。

 ショベルローダーなどの建機や医療機器、航空機用計測システムなどに利用されているセンサである。2012年9月に福祉用具メーカーの幸和製作所と共同開発を発表した電動歩行アシストカー「KeePace(キーパス)」にも使われている(関連記事)

 前述の展示会でこの技術を披露した後、現在はさまざまなユーザー(機器メーカー)と具体的な話を進めている段階という。村田製作所は、今回のような心拍計測の用途に向けて、傾斜センサ単体ではなく、同センサを搭載したモジュールとして機器メーカーなどに提供していく考えである。2013年中には機器メーカーと実証実験を進め、2014年に実用化することを狙う。