写真1●国立病院機構 熊本医療センター副院長 片渕茂氏
写真1●国立病院機構 熊本医療センター副院長 片渕茂氏
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写真2●体温計、パルスオキシメーターを本体にかざすと測定データが取り込まれ、血糖測定器はケーブルでUSBポートに接続
写真2●体温計、パルスオキシメーターを本体にかざすと測定データが取り込まれ、血糖測定器はケーブルでUSBポートに接続
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写真3●経過表から本体ID、利用者ID、患者IDが転送され、目視確認で認証
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 11月21~23日に神戸市で開催された第33回医療情報学連合大会(第14回日本医療情報学会学術大会)で、国立病院機構 熊本医療センター副院長の片渕茂氏が、一般病棟におけるバイタルサインの電子カルテ(看護経過表)自動取込みシステムの導入経緯・成果について講演した。

 オムロン ヘルスケアのスポットチェックモニタ(関連記事:血圧や体温、SpO2の測定データを電子カルテに自動転送、オムロン ヘルスケアが「スポットチェックモニタ」を発売)を利用したもので、患者担当看護師にとってはデータ誤入力の低減、業務効率化を、医師にとってはリアルタイムの結果参照が可能になるといった成果が得られたという。

 救急告示病院であり、救命救急センターを持つ熊本医療センター(550床)は、年間救急車搬入数が約8300台に及び、24時間急患の絶えない多忙な診療を行っている。「患者数は増加しているが、総務省から増員に対する苦情があり、職員増員がままならない。また、7対1看護体制や救命救急棟の常時4対1看護により、毎年70~100人の看護師採用で新人看護師が多数を占めている」(片渕氏)といった課題を抱えている。

 2012年10月の電子カルテリプレース(富士通、HOPE/EGMAIN-GX)において、追加機能領域の1つとして安全管理システムの積極的な導入をめざし、セントラルコントール式の生体情報モニターシステム導入などが進められた。「HCU(重症患者室)や術後観察室を中心に、一般病棟にもセントラル生体情報モニターシステム導入が期待された。しかし、利用頻度に対する高額な導入コスト、転棟・転室が多いなかで中央管理される測定機器の多種多様さに新人看護師が対応できず、機器誤認・装着患者誤認の危険性がある、さらに早期離床の妨げるになるといった理由から、一般病棟への生体情報モニターシステム導入は見送られた」(片渕氏)。

 一方で、病棟の安全管理システムとして、担当看護師からは注射薬剤や採血管、患者をバーコード認証するPDA(携帯情報端末)システム、看護部幹部からはバイタルサイン測定値の自動入力システム、糖尿病専門医からは血糖測定値の自動入力システムという3種類の病棟モバイル機器の要望があった。その際に、バイタルサイン測定値の自動入力システムとして提案され、看護部幹部から支持が高かったのが、スポットチェックモニタだった。

 「注射薬剤・採血管認証は、PDAシステムでしかできないため導入を決定。スポットチェックモニタは、バイタルサインの自動取込みによる入力ミス防止や、バーコード認証による患者誤認防止が可能であることに加え、血糖測定値も対象とする開発が進められていることから採用に踏み切った」(片渕氏)と導入経緯を説明した。