FileMakerの連携機能と現場が開発に関与しやすい点を評価

 透析業務支援システムはメーカー製のパッケージ製品もいくつかあるが、付帯業務までカバーする「トータルソリューションと言えるシステムはほとんどない」(柴垣氏)のが現状。その理由には、透析医療のITツールの市場規模がさほど大きくないことや、透析専門クリニックのIT投資能力の限界などある。「今後も真に透析業務の効率化に資するシステムが、メーカーから製品化される可能性は低いと思います。マルチベンダーで構成するにしても、他社システムとの接続性があまり考慮されていないのも問題です」と柴垣氏は言う。

 そこで連携ツールとしてのFileMakerに着目したわけだが、「ユーザー自身での開発も比較的容易ですし、開発委託する場合でも、現場のスタッフが密接に関わりながら機能性を高められる特徴があります。パッケージ製品にはないシステムや機能を、安価に実現できることも大きな魅力です」と市川氏。柴垣氏も「ITの最大の特長であるデータ連携によるツールの相互運用を実現するためには、FileMakerが提供する機能は必要です」と評価する。

 実際、透析業務フォローシステムをはじめ、iPadなどのモバイル端末を利用する数々の業務システムは、透析業務全般の効率化とラウンド中に実施すべき業務のチェック、リアルタイムな問題解決などが実現され、業務改善に貢献している。「スタッフの業務を軽減して楽をするための効率化ではなく、あくまでも質の高い透析医療を実施するための効率化を目的に、IT活用を推進していきたいと考えています」と市川氏は述べる。


■診療所概要

名称:医療法人社団 明洋会 柴垣医院 自由ヶ丘
住所:東京都目黒区自由が丘1-13-4 UIW11自由ヶ丘2F
診療科:内科、人工透析科
透析ベッド数:28床
Webサイト:http://www.shibagakinaika-cl.jp/
導入システム:ファイルメーカー「FileMaker Server、FileMaker Pro、FileMaker Go」